お母さんに贈る言葉

カーリル・ギブラン詩集より

あなたの子どもは あなたの子どもではない

子どもは「生命」の渇望からの子どもである

子どもは あなたを通ってくる

しかし あなたからではない

子どもは あなたと共にある

しかし 子どもは あなたのものではない

 

あなたは 子どもに愛を与えることが出来る

しかし 考えを与えることは出来ない

子どもは 自分の考えをもっているのだから

あなたは 子どもの体を 動かしてやれる

しかし 子どもの心は 動かせない

 

子どもは 明日の家に生きている

あなたは それを訪ねることも 見ることもできない

あなたは あなたの子どもを 思い通りにしようとしてはいけない

人生は 後ろに退き 昨日にとどまるものではないのだから

 

あなたは 弓である

そして あなたの子どもらは 

生きた矢としてあなたの手から放たれる

 

弓ひくあなたの手にこそ 喜びあれ……と

人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ。
All I really need to know I learned in kindergarten
何でもみんなで分け合うこと。
ずるをしないこと。
人をぶたないこと。
使ったものは必ずもとのところに戻すこと。
ちらかしたら自分で後片づけをすること。
人のものに手を出さないこと。
誰かを傷つけたら、ごめんなさい、と言うこと。
食事の前には手を洗うこと。
トイレに行ったらちゃんと水を流すこと。
焼きたてのクッキーと冷たいミルクは体にいい。
釣り合いの取れた生活をすること。
毎日、少し勉強し、少し考え、少し絵を描き、歌い、踊り、遊び、
そして、少し働くこと。
毎日必ず昼寝をすること。
表に出るときは、車に気をつけ、手をつないで、
はなればなれにならないようにすること。
不思議だな、と思う気持ちを大切にすること。

ロバート・フルガム 「河出書房新社」1990年初版
「人生に必要な知恵はすべての幼稚園の砂場で学んだ」より抜粋

生命は    吉野 弘

生命は
自分自身で完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする

生命はすべて
そのなかに欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ

世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思えることさも許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?

花が咲いている
すぐ近くまで
虻の姿をした他者が
光りをまとって飛んできている

私も あるとき
誰かのための虻だったろう

あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない

こ ど も   ドロシー・ロー・ホルト

批判ばかりされた子どもは 避難することを覚える

なぐられて大きくなった子どもは 力に頼ることを覚える

笑いものにされた子どもは ものを言わずにいることを覚える

皮肉にさらされた子どもは 鈍い良心の持ち主となる

しかし

激励を受けた子どもは 自信を覚える

寛容であった子どもは 忍耐を覚える

賞賛を受けた子どもは 評価することを覚える

フェアープレーを経験した子どもは 公正を覚える

友情を知る子どもは 親切を覚える

安心を経験した子どもは 信頼を覚える

可愛がられ抱きしめられた子どもは 世界中の愛情を覚える

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